会頭挨拶

 この度フィリピン日本人商工会議所の会頭に就任致しました下田です。微力ではございますが、会員企業様の更なるご発展の一助たるべく誠心誠意努力いたす所存でございますので、何卒ご指導ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

 WHOは、今月、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて出していた「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了すると発表しました。
また日本でも新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、今月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行しました。
フィリピンでも、政府は「国家災害事態宣言」を昨年末にそれを延長しませんでした。マルコスJr.大統領が「公衆衛生上の国家緊急事態宣言」を解除し、全てのコロナ感染対策規制が撤廃されるかが注目されていますが、実際には大統領も言われている通り、「我々はすでに通常の歩みに戻っている」と言ってもよいと思います。

 各国の経済活動が、人の往来が、活発になる中で、我々日本企業もこの流れに真っ先に乗って、経済活動の拡大・成長をしっかりと掴まねばなりません。

 一方で新型コロナのパンデミックは、人々の生活をサービスの消費からモノの消費にシフトさせ、記録的なインフレを招きました。ポストパンデミックの今はサービスの消費への回帰、いわゆるリベンジ消費が見られますが、インフレの抑制のために、世界的に急激な金利上昇を招きました。

 シリコンバレーやクレディスイス、ファースト・リパブリック破綻の金融不安。今は欧米の中銀は流動性を積極的に供給していますし、FRBは不安の連鎖を断ち切るために監督や規制の強化に躍起ですが、世界の市場ではアメリカの銀行システムへの警戒が続いています。その金融不安はアジアにも影響を及ぼさないとは限りません。米国の利上げに伴うドル高で、負担が増す途上国の債務の焦げ付きは危機の導火線になりかねません。

 このように良いこと悪いことが交錯する中で、私たち商工会議所は、会員企業の皆様が、これから起こりうるシナリオに対して準備ができるような情報発信を心掛けます。そのためにも会員の皆様の現場の生の声をお聞かせいただけますと幸いです。

 長くこのフィリピンは、「市場として、投資先としてポテンシャルがある。平均年齢が24~25歳と非常に若く、年齢構成も綺麗なピラミッドを描き、人口ボーナスもASEAN最長」と言われながら、そのポテンシャルの実現がいまだに待たれている状態です。理由として最近のVAT問題に代表される不安定な方針などいくつかの課題が挙げられます。しかしながら、課題があるからこそ、それを解決する提案ができる。ポテンシャルを活かしきれていないからこそ、そこに機会がある。

 マルコスJr.大統領の2月の訪日は、新政権と日本の経済界の距離を縮め、日本側に大統領の政権運営に対する安心感をもたらし、日本を「その気」にさせました。それをこのフィリピンの現場でしっかりと実現していく、我々商工会議所がその一助となるべく今年度の活動を行う所存です。

 会員企業が商工会議所というひとつの船に乗り、フィリピンでの成功と発展という目的地を共に目指す。そのような頼れる母艦のような商工会議所でありたいと思います。

 会員企業の皆様のご協力とご支援をここに改めてお願い申し上げます。忌憚のないご意見、ご相談をお待ち申し上げております。また、会頭をはじめ理事会への叱咤、牽制など厳しいお言葉もどうかご遠慮なくおかけください。
 商工会議所はフィリピンにおける会員の皆様の経済活動の健全な成長のために、帆を高く掲げ、しっかりと風を捉えて、前に前に進みます。

2023年5月 フィリピン日本商工会議所 会頭 下田 茂

歴代会頭一覧

第34代 2024年 4月~ 石川 治孝 三菱商事マニラ支店
第33代 2023年 4月~ 下田 茂 丸紅フィリピン
第32代 2022年 4月~ 嶋田 慎一郎 アジア・大洋州三井物産マニラ支店
第31代 2019年 4月~ 松永 啓一 三菱商事マニラ支店
第30代 2018年 4月~ 多胡 直人 丸紅フィリピン
第29代 2017年 4月~ 白石 浩 フィリピン住友商事
第28代 2015年 1月~ 天野 善夫 三菱商事マニラ支店
第27代 2014年 4月~ 冨野 哲夫 アジア・大洋州三井物産マニラ支店
第26代 2012年 4月~ 石神 高 丸紅フィリピン
第25代 2010年 9月~ 一木 伸也 三菱商事マニラ支店
第24代 2009年 4月~ 有光 泰彦 アジア・大洋州三井物産マニラ支店
第23代 2007年 4月~ 稲見 俊文 三菱商事マニラ支店
第22代 2006年 4月~ 池 信介 フィリピン住友商事
第21代 2003年 4月~ 川口 隆吉 丸紅フィリピン
第20代 2000年 5月~ 亀山 将一 三井物産マニラ支店
第19代 2000年 4月~ 今城 進 RCBC(三和銀行)
第18代 1999年 4月~ 玉置 雅治 日商岩井
第17代 1997年 4月~ 島岡 忠臣 伊藤忠商事マニラ支店
第16代 1995年12月~ 浅井壮一郎 ユニオン味の素
第15代 1993年 6月~ 宮川 克己 三井物産マニラ支店
第14代 1992年 6月~ 徳永 康之 フィリピン・シンター・コーポレション
第13代 1991年 4月~ 村田 等 プレシジョン・エレクトロニクス(松下電器)
第12代 1987年12月~ 鈴木 信二 三菱商事マニラ支店
第11代 1986年 4月~ 近藤 正弘 伊藤忠商事マニラ支店
第10代 1984年 4月~ 今井 正明 プレシジョン・エレクトロニクス(松下電器)
第 9代 1982年 4月~ 堀部 昌昭 伊藤忠商事マニラ支店
第 8代 1981年 4月~ 安部 好郎 三井物産マニラ支店
第 7代 1980年 4月~ 亀岬 達也 三菱商事マニラ支店
第 6代 1979年11月~ 東 忠 日綿実業
第 5代 1979年 7月~ 斎田 敏幸 伊藤忠商事マニラ支店
第 4代 1979年 4月~ 服部 誠 三菱商事マニラ支店
第 3代 1977年 4月~ 石井 利夫 三井物産マニラ支店
第 2代 1976年 4月~ 野口 能敏 東京銀行マニラ支店
第 1代 1973年11月~ 中邑松太郎 三井物産マニラ支店