マブハイ 診療所便りから・・・・

 

各種予防接種について

 

A及びB型肝炎混合予防ワクチン(TWINRIX)について

インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン

黄熱病ワクチン

狂犬病ワクチン

髄膜炎菌ワクチン

腸チフスワクチン

日本脳炎ワクチンについて

破傷風の予防接種

肺炎球菌ワクチン

 

 

A及びB型肝炎混合予防ワクチン(TWINRIX)について

平成15年6月17日

                          マニラ日本人会診療所

                          JOMF派遣医師 土田  穣

小生当地マニラに着任しほぼ二ヶ月と迎えました。

この間、当診療所の人間ドックの検査項目に標記肝炎抗体検査がありますが、両方の抗体が陰性と出る者が目立ちます。

幸いにして、同疾患を小生はここの診療所で未だ診ておりませんが、開発途上国ではご承知のとおり珍しくはなく、お薦めしたい予防接種の一つです。

そこで標記ワクチン(日本では承認されていません。)の接種を上記検査の結果、両方とも陰性の人には、特にお薦めしております。

一度の注射で良く、初回シリーズは0月、1月、6月の三回実施し、追加接種は5年ごとに1回すると良いものです。

当診療所での同接種料金は子供(1歳以上16歳未満)は6月17日現在、1回1、242ペソ、大人(16歳以上)は2、285ペソです。

尚、標記ワクチンは欧州では1996年9月23日、米国FDAでは2001年5月14日に承認されています。

参考までに、少々旧聞に属しますが、米国の当該情報につき、日本の薬事日報の2001年5月25日版の掲載をご覧下さい。

【米国薬事情報】AB両肝炎ウイルスの予防に新混合ワクチン FDA

薬事日報01/05/25

 FDAは十一日付でA型肝炎ウイルス(HAV)及びB型肝炎ウイルス(HBV)の感染を予防するための新混合ワクチンを十八歳以上の成人用として承認した。このワクチンは「ツインリックス」と呼び、二つの既承認ワクチン、「ハブリックス」(不活化A型肝炎ワクチン)と「エンジェニックスB」(遺伝子組み換え型B型肝炎ワクチン)を混合した製品のため、両型のウイルスに曝露の危険が高い人々に接種すれば両ウイルスに対する免疫を同時に得られる。

 ツインリックスはある行動または職業によりHBVの感染危険が高い旅行者や疾病管理予防センター(CDC)がHAV及びHBV両感染症の発生率が高度または中度と指定した各国を訪問する旅行者に推奨される。

 HAV感染症は汚染飲料水または食品の摂取により罹る。衛生状態が悪いまたは洪水などで通常の衛生状態が破壊された地域への旅行はHAV感染の危険が増加する。
 HBV感染症は感染者の血液または体液との接触や汚染注射針の使用、あるいは感染者との予防具を使わない性交などで広がる。医療従事者も危険な職業に考えられる。
 HAV及びHBVの両者の感染の危険が高いとされる地域としては、アフリカ、南米の一部、ほとんどの中東及び東南アジアが含まれる。

 HAV感染は無症候のことがある。しかしながら症候は高年齢層により多く起こり、発熱、倦怠感及び黄疸が典型的である。稀にHAV感染患者の肝不全が進行して死亡する例もある。HBV感染にも無症候やHAV感染に類似の症例がある。少数の成人HBV感染者で慢性肝炎の結果、肝硬変及び肝臓癌になる。

 ツインリックスの臨床試験は三回接種シリーズ(零カ月、一カ月、六カ月)で行われ、同混合ワクチンの安全性及び有効性は個々の既承認HAV及びHBVワクチンと同等と実証された。
 ツインリックスはペンシルベニア州フィラデルフィアのスミスクライン・ビーチャム社が製造販売する。

 

 

インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン

                  JOMF派遣マニラ駐在医師

                        土田  穣

先に日本で認可されていないワクチンを紹介したA+B型肝炎混合ワクチン(Twinrix)、腸チフスに加えて、標記ワクチンがあります。

この対象となるヘモフィルス‐インフルエンザb菌感染症は「インフルエンザ」という言葉を含んでいるため紛らわしいのですが、

日本を含む北半球世界で冬に流行を起こすインフルエンザとは全く関係がありません。

この菌は髄膜炎、肺炎、化膿性中耳炎、鼻咽頭炎などの原因の一つとなる病原体の細菌です。

この名前が長いために単にインフルエンザb型菌、HibHaemophilus influenza Type b)という略称がしばしば使用されています。

小児の細菌性感染症(特に細菌性髄膜炎)では特に重要で、生後3ヶ月~3歳が感染のピークとなります。

欧米では殆どの地域で、乳幼児を対象として通常の予防接種スケジュールに組み込まれていますが、日本は未だ認可されていないのが現状です。

フィリピンにおいてもAventis Pasteur社のACT-HIBGlaxoSmithKline社のHIBERIXWyeth社の

HIBTITERの単剤製品が認可されている他、「HEXAVAC」という6種混合ワクチン

(ジフテリア、破傷風、百日咳、B型肝炎、ポリオ、Hib)の中に入っているのも発売されています。

毎年日本では数百人もの子供達が髄膜炎の後遺症を残したり、急激な経過で死亡したりしているという

某日本人小児科医の報告を考えますと、BCG、ポリオ、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)、風疹、

日本脳炎、麻疹などと同様に、任意接種ではなく、国家の責任による勧奨接種として、

日本においても全ての子供達にHibワクチンの接種が可能になるよう切に望むものであります。

フィリピンにこられた機会に対象になる乳幼児の同伴される方には、是非お薦めする予防接種の一つとしてここに紹介致します。

通常の接種時期は生後2ヶ月~6ヶ月の間に3回、追加接種を3回目の接種の1年後にします。

マニラ日本人会診療所では2003年9月26日現在上記ワクチンを1回935ペソで実施しております。

 

 

黄熱病ワクチン

平成16年3月16日

             JOMF派遣マニラ駐在医師 土田 穣

 

黄熱病の発生を見ないフィリピンからどうして標記ワクチンの話しを診療所便りに掲載するかといえば、

昨年当地在留邦人から次ごとき電話での問い合わせがあったことが契機であります。

「黄熱病汚染地帯の某国へ某日までに入国するよう出張命令を受けたが、当診療所で其の予防接種が出来ないか?」

先ず右ワクチンは、何処の国においても、国際保健規則に定められた予防接種ですので、国の指定した機関でのみ接種可能である事。

当診療所は右指定を受けておりません。

マニラでは「Quarantine」で予約なしで、月~金の午前8時から同10時まで実施しています。

場所はPortarea ManilaでTELは527-4654(Clinic)です。価格は600ペソで税込みかつ証明書のカード代を含んでいます。

日本での実施機関は東京検疫所(電話03-3471-7922)、横浜検疫所(電話045-201-4458)など

各地の検疫所のほか、日本検疫衛生協会東京診療所(電話3201-0848)、横浜診療所(電話045-671-7041)でもおこなっております。

日本では予約が必要ですのでご留意ください。

第二に接種してから10日を経過していないと出張命令を受けている国には入国出来ない事を回答しました。

また、仮に黄熱病汚染国への出張でなくても、汚染国経由で赴く場合においても標記ワクチン接種証明書の提示を

目的地空港検疫官に求められますのでご留意下さい。

右汚染国の入国にはWHOによって予防接種が義務付けられており、これらの国への入国の際にイエローカード(予防接種証明書)が要求されます。
イエローカードの有効期間は接種後10日から10年間です。

(再接種の方は接種直後から10年間有効。)

入国者すべてにイエローカードを要求している国は以下の通りです。
ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、コロンビア、コンゴ、コートジボアール、フランス領ギアナ、ガボン、ガーナ、リベリア、マリ、モータニア、ニジェール、ルワンダ、サントメ・プリンシペ、トーゴ、コンゴ民主共和国(旧ザイール)です。

なお、卵アレルギーの方、妊娠中の婦人へは接種できませんのでご注意下さい。

 

黄熱病について

疫学


アフリカ、中南米の赤道を中心としてほぼ南北15度に常在します。(現在のところアジアでの発症は認められておりません。人人という感染経路をとり、人から人への直接感染はありません。

症状


 潜在期間は3ー6日。突然の高熱のあと、重度の肝障害に伴う黄疸がでてきます。重傷例ではDICという多臓器障害と出血傾向による下血がみられる致命率のたかい状態になります。
軽症例は風邪症状に似ていることから黄熱病と気が付かないことが多いと考えられ、統計はとりにくいのですが、
致命率は5から10%ともいわれてます。

治療


 治療法は残念ながらありません
対症療法のみで、肝障害やDICに対する全身管理が必要ですので、疑わしいときは現地の大きな病院に行きましょう。

予防


ワクチン接種が有効な手段です。感染地域は比較的限局されておりますので、これらの地域に渡航するひとはイエローカードの要否にかかわらず接種することが大事です。
感染多発地域に渡航するときはワクチン接種はもちろんのこと、とにかく蚊に刺されない様最大限努力することです。
外出時は長袖長ズボンをはき、虫除けスプレーをしっかり使ってください。
外用の電気蚊取り器が、ある程度有効なので日本で購入していくことをおすすめします。

イエローカードについて


特定地域への入国にはWHOによって予防接種が義務付けられており、これらの国への入国の際にイエロカード(予防接種証明書)が要求されます。下記の国への入国以外でも、流行地域を経由してきた場合に提示を求められることもあるようです。アフリカや中南米に渡航する人は必ず大使館か領事館にお問い合わせください。
黄熱病のワクチンは一般の診療所では扱っておらず、各地域の検疫所で受けるようになっております。
イエローカードの有効は接種後10日から10年間です。(再接種の方は接種直後から10年間)
入国者すべてにイエローカードを要求している国は

ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、コロンピア、コンゴ、コートジポアール、フランス領ギアナ、ガボン、ガーナ、リベリア、マリ、モータニア、ニジェール、ルワンダ、サントメ、プリンシペ、トーゴ、ザイール
です。-

ワクチン接種法


一回のワクチン接種で10年以上の効果があります。
接種後10日より予防効果が発現します。
生ワクチンなので、他のワクチン接種が終わってから最後に射つと良いでしょう。
ただし、イエローカードの有効期間は接種後10日からなので、出発ぎりぎりにならないようにご注意を。
卵アレルギーのある人は接種できませんので気をつけてください。


狂犬病ワクチン

                              JOMF派遣医師

                                   土田  穣

 

フィリピンでの狂犬病の発生は当国保健省の作成しました狂犬病ガイドライン

(Guidelines on RABIES Prevention & Control Oct.16,2002)によると毎年300~600人の

比国人が死亡していると明記してあります。

狂犬病は発病すれば致死率が100%近い、恐ろしい病気であるということを認識する必要があります。

日本では近年発生していませんが、下記の地図(JOHACのホームページより)を参考までに見ていただいておわかりのとおり、

先進国でも狂犬病ウィルスが存在します。

世界では狂犬病が発生していない地域(日本、ハワイ、オーストラリア、イギリス、ノルウェー、スエーデンなど)の方が例外的であり、

年間死亡者数は約三万と推定されています。

犬だけではなく、猫、蝙蝠、狐、狼、アライグマ、スカンクなど多くの動物が媒介する点ご留意ください。

前述の如く日本では最近狂犬病が発生していないので、旅行、出張、海外長期滞在などで出かけても

その危険性を認識していない人が多く、犬猫などに不用意に近寄り噛まれる例が後を絶ちません。

 

海外でイヌなどに噛まれたら、傷口を石鹸と水でよく洗った上で(犬などの唾液にウィルスが含まれます)

急いで医師に相談して下さい。これが予防の基本です。

標準的予防接種方法は3回の接種を2回目は1回目の1ヶ月後、3回目はその6ヶ月から1年後とされています。

生後6ヶ月以降であれば接種は可能とされています。

感染から発病までの潜伏期間は平均12カ月間で,その間の診断は不可能だ.突然発病して1週間から10日で死に至る.人に対する有効な治療法は,動物にかまれた後,上記に述べた如く、傷口をかまれた後すぐに当該部を洗い、アルコールなどで消毒の上できるだけ早くワクチン注射をすることである。抗狂犬病免疫グロブリンを併用すれば,治療効果が高まるが,日本にはない.しかし、フィリピンでは同グロブリンは認可され、発売されています。

 

 

髄膜炎菌ワクチン

平成16年1月16日

JOMF派遣マニラ駐在医師 土田   穣

細菌性髄膜炎の内、現在ワクチンで予防可能な対象細菌は現在つぎの3つであることは、

既に会員の皆様にあられましては、ご存知のかたも多いでしょう。

 

1:インフルエンザb菌 2:肺炎球菌 3:髄膜炎菌

1のワクチンに就いては、既にマブハイ昨年12月号に掲載しましたので、これを参照下さい。

上記3つのワクチンの内、日本が現在認可しているのは、現在2のみとなっています。

当国フィリピンでは既に上記ワクチンすべてが認可されていますので、これらの予防接種を受けることが可能です。

 勿論、主要先進国においてもフィリピン同様上記ワクチン全てが認可されています。

日本の国立感染症研究所感染症情報センターが毎週取り纏めて報告している資料によれば、

平成15年119日までの5類感染症の一つである髄膜炎菌性髄膜炎の累積症例数は16となっており、

日本でも発症が皆無ではないことを再認識すべきであると考えます。

 さて髄膜炎菌ワクチンは、現在判明中である13種類の血清型群のうち、

A,C,Y,W-135の四つの血清型群による髄膜炎に対して有効でありますが、

欧州でみられるB群に対しては効力がありません。

目下イタリアを始め各国で同ワクチンの開発を急いでいるところであり、一日も早い完成が待たれます。

髄膜炎菌は現在13種類の血清群に分類されるものの、

ABCY型、W-135での症例が多くを占めていることにご留意下さい。

 また、この菌による髄膜炎の予後は5歳以下の乳幼児では5%、成人では10~15%の致死率であることにも記憶に留めて頂く必要があります。

本ワクチンはA型菌とC型菌の各単独ワクチン、AC型混合ワクチン、A+C+Y+W135型混合ワクチンがあり、

フィリピンではA+C型混合ワクチンが認可され、当診療所において、1,580ペソの費用で接種が可能です。

実施回数は1回で良く、約3年間有効です。

但し、本ワクチンの有効性はインフルエンザワクチンと同様、接種後約2週間経た後に出てくる事、

並びにワクチン接種後に得られる免疫抗体の低下の速さは、成人より乳幼児の方が早いとされる点などに注意が必要です。

 

世界中を飛び歩く日本企業戦士の会員並びにご家族の皆様におかれましては、

本ワクチンをも予防接種プランを立てる際の候補としてご一考願えれば、誠に幸いです。

日本での未認可のワクチンの日本での接種についての質問等に関しては

インターナショナルクリニック(東京都港区麻布台1-5-9Tel. 03-3582-2646Fax. 03-3583-8199)へご相談下さい。

 また、海外では例えば、パリにあるエア・フランスの予防接種センターで受けることが出来ます。

その他の国については日本の在外公館駐在医務官などにお尋ね下さい。

日本で未だ認可されていないワクチンの内、私がこのマブハイで言及したワクチンは本ワクチンを含め4つとなりました。

 

腸チフスワクチン

                    マニラ日本人会診療所駐在

             JOMF派遣医師  土田 穣

 

先月はA+B型混合ワクチンの話をしましたが、今月も当診療所で受けられる標記ワクチンについて若お知らせします。

皆様方は、A型肝炎流行地には同時に腸チフスも流行する事は既にご存知でしょう。

先ず腸チフスワクチンには次ぎの3種類あります。

①:死菌ワクチン

腸チフス菌をフェノール加熱処理したもの。 4週間以上の間隔を空けて2回注射する。

接種者の30%前後に強い副作用(発熱、頭痛など)が出現する。

1970年頃まで日本国内でも製造販売されていた。安価なため、発展途上国では今でも使用される。

②:Viワクチン

腸チフス菌の莢膜に存在するVi多糖体抗原を精製したもの。

1回注射すれば3年間有効。約7%に注射局所の反応(発赤、硬結)がみられる。

③:経口生ワクチン

腸チフスの弱毒株(Ty21a)を用いた製剤。 48時間毎に34回経口すれば、35年有効。

副作用は少ないが、腹部不快感、嘔気、嘔吐、発疹などが出現する場合がある。

 

いずれも現在日本では認可されておらず、一部の医療機関でしか現在受けられませんが、

当診療所では、月~土の診療時間に予約なしで、いつでも上記に②を受けられます。

①はありませんが、③は手に入ります。

因みに小生はかって、ジュネーブに本部のある赤十字国際委員会からアフリカ西海岸にある国、

ナイジェリアで起きたビアフラ内乱中、戦争避難民のための緊急医療援助に派遣された際、

上記①を日本で受けてから出発しました。幸い小生の場合は、副作用はありませんでした。

他方、当時A及びB型肝炎ワクチンは勿論出来ていませんでしたから、先回御知らせした「Twinrix」は、接種できませんでした。

今回当地に着任するにあたり、小生は②のワクチンを在フランス日本国大使館で医務官として勤務していた時、

受けてきましたのが未だ有効ですが、そろそろ追加接種をしなくてはなりません。

当診療所で接種出来るのでわざわざパリまで行かなくても済みます。

最後に2003年7月3日現在のワクチンの価格を御知らせします。

当診療所では②を1,122ペソ(成人)1,422ペソ(小人)で接種しております。

③の経口剤は、3カプセル計585ペソで購入可能です。

日本ではA医療機関で②は一万円、③は9,000円。B医療機関で②は5,250円となっていますが、

右ワクチンは日本当局の認可を受けていませんので、

予防接種事故があった場合の責任は日本国にはないことは言うまでもありません。

 

 

日本脳炎ワクチンについて

JOMF派遣マニラ駐在医師 土田 穣


今年は中国南部で日本脳炎が流行しています。

最近フィリピンでも3例報告が当局よりありました。

当国では通常標記ワクチン接種はおこなわれておりませんので、日本出発前に出きるだけ受けられるようお薦め致します。

この点、先に報告した(A+B)型肝炎ワクチン「TWINRIX」並びに腸チフスワクチンとは逆の事情にあります事にご留意頂きたく、お願い申し上げます。

 

<日本脳炎ワクチン接種方法>

日本脳炎ワクチンは初回免疫として1-4週間の間隔で2回接種、初回免疫後1年後に追加免疫として1回接種します。

Ⅱ期として、小学4年生、Ⅲ期として中学2年生で接種します。
現在まで日本脳炎ワクチンによる重篤な副反応の報告はなく、接種箇所の発赤、腫脹、疼痛等が稀にある程度で、

比較的安全なワクチンと考えられています。

 

<蚊が媒介する日本脳炎ウイルス>

蚊に刺された後のかゆみはいやなもですが、痒いだけではすまないこともあります。

蚊に刺されたことが原因で病気を発症し、命に関わることもあるのです。

蚊が媒介する病気の中で日本人になじみがあるのは、「日本脳炎」でしょう。

日本脳炎は日本の風土病というわけではなく、その分布はアジアモンスーン地帯に広がっています。

日本脳炎を媒介する蚊はコダカアカイエカで、発症すると発熱、頭痛といった症状が出ます。

そして重症になれば意識障害や混濁、昏睡状態になり、回復しても障害が残ることもあります。

現在特異的な治療方法は確立しておりません。

現在国内での発症例は西日本を中心に、年間数名と1桁台です。

これは予防接種の普及によるためですが、目を海外に転ずれば、毎年4万人以上が発症しております。

 

 

破傷風の予防接種

2003年9月3日

JOMF派遣マニラ駐在医師

土田  穣

日本では、小児期に三種混合ワクチン(DPT:ジフテリア・百日咳・破傷風)の定期接種が実施されています。

1回では十分な免疫ができないので、乳幼児期にまず3回接種し、さらに追加接種を1回します。

さらに長期にわたる免疫をつけるために、小学校高学年から中学校で、二種混合ワクチン(DT:ジフテリア・破傷風)を1回追加接種します。
生後3ヶ月~1歳までに3回接種、1年~16ヶ月後に追加接種を1回、1112歳に追加接種1回をします。
前回の接種後10年を過ぎた人は、追加接種が望まれます。
1112歳で破傷風を接種後、10年が過ぎた20歳前後の大学卒業時(就職前)が追加接種の目安になります。)

上記時期に接種したかどうかの確認を母子手帳などで必ずしてください。

実施していない方は、3回の接種を海外赴任前にA及びB型肝炎などの予防接種と共に完了出来るよう

各企業人事担当の責任者の方は右配慮の上、前広に本人にその異動の内定通知をするようお願いします。

海外赴任後にすれば良いと甘く考えないよう願いあげます。

赴任後は各人の業務に専心できるよう、推薦されている予防接種は日本で全て完了するよう重ねてお願い致します。

海外赴任後のワクチン接種は、日本で認可されていないもののみを対象とし、

本邦で受ける事ができる予防接種は全て接種完了してから、赴任せしめるよう関係者は周知徹底していただきたい。

なお、当国国立感染症センター長JUAN LOPEZ医師に昨日お尋ねしました結果では、

2002年一年間の破傷風症例は新生児200例、非新生児例1,002合計1,202例とのことでした。

因みに日本では2003810日までの症例報告数は40件と2003年9月3日に接受した

日本医事新報4140号に掲載されていました。

最後に破傷風に罹患しますと約半数以上の例で死亡するという事を肝に銘じてください。

 

 

肺炎球菌ワクチン        

                      平成16年2月18日

            JOMF派遣マニラ駐在医師 土田   穣

肺炎球菌はご承知のように呼吸器感染症の病原体の中で、その病原性が最も強いといわれています。

わが国の肺炎の死亡率は依然として第4位(フィリピンでは第3位)で、ここ数年は上昇傾向すらみえています。

その内約半分がこの肺炎球菌での死亡です。

小児では、肺炎のほか中耳炎、髄膜炎などの起炎菌としてこの肺炎球菌が1乃至2位を占めており、

高齢者と共に小児の死亡率の高い疾患の原因菌なのです。

インフルエンザウイルスに多くの種類があるごとく、肺炎球菌には約90種類もあり、

其の内23種の菌型が成人肺炎の原因となる事が多いため、この23価の肺炎球菌多糖体ワクチン

pneumococcal polysaccharide vaccine 通常PPVと略されています。)が現在製造されています。

但し日本やフィリピンでも右ワクチンは認可されていますが、製造されていませんので、輸入品です。

日本では萬有製薬が「ニューモバックス」と言う名前で発売しております。

当診療所では、Aventis Pasteur社の「PNEUMO 23」を本日(平成16年2月)現在1,190ペソの料金で実施しております。

また、日本でもフィリピンでも未だ認可されていない7価の肺炎球菌蛋白結合多糖体ワクチン

pneumococcal conjugate vaccine 通常PCVと略されています。)がありますが、これは2歳未満の乳幼児を対象としたものです。

米国では2002年からCDC(米国防疫センター)の勧告で、対象の全ての乳幼児にPCVの接種が勧められるようになりました。

2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1215ヶ月時の4回接種が推奨されています。

上記PCVが先にニュースレターで記述しましたヘモフィルスインフルエンザB菌(Hib)ワクチン等と共に

一日も早く日本でも認可されるよう願ってやみません。

日本の小児科医のみならず、日本のこれから生まれてくる子供達のためにも、厚労省などの関係当局の英断が待たれるところです。

肺炎球菌の多剤耐性が増加している現状では、次のハイリスクを有する人には

特に肺炎球菌ワクチンの海外派遣前接種が大変重要であると考えます。

 

1:65歳以上の高齢者。

2:心臓や呼吸器に慢性の疾患がある方。

3:糖尿病の方。

4:腎不全や肝機能障害のある方。

5:脾臓摘出などで脾臓機能不全のある方。

6:免疫抑制作用を有する治療を予定されている方。

 

日本での同ワクチンの接種可能な医療機関については、お近くの保健所、罹りつけ医などにお尋ね下さい。

なお、同ワクチンの有効期間は5年とされています。

最後に日本では未だ追加接種は認められておりませんので、ご留意下さい。

昨年11月末日現在、日本で本ワクチンの公費助成を実施しているのは、次の19市町村です。

 北海道: 東神楽町、長沼町、寿都町、瀬棚町

 秋田県: 鷹巣町

 岩手県: 藤沢町

 新潟県: 津川町、三川村、松代町

 宮城県: 白石市、蔵王町、七ヶ宿町

 埼玉県: 大滝村

 三重県: 関町

 和歌山県:大塔村

 鳥取県: 江府町、佐治村、福部村

 岡山県: 奈義町