中国での反日デモ後における在比ビジネスマンの意識調査結果

2005年4月25日

フィリピン日本人商工会議所 調査委員会

 

フィリピン日本人商工会議所(会頭:川口隆吉・会員数498)は、4月25日「中国での反日デモ後における在比ビジネスマンの意識調査」を行いました。(実施期間2005年4月20日~22日)

これは、在フィリピンの日本人ビジネスマンが中国をどう見ているか、フィリピンは中国からの投資回避先になりうるのか、その意識を調査したものです。回答数53社(回答率10.6%)。

 

1.今回の中国での反日デモの影響について、フィリピンでのビジネスへの影響を聞いたところ、影響がないと答えた企業は45社(84.9%)、出張自粛が8社で、部品の供給の停止などの直接のビジネスへの影響は出ていない。しかし、長期化した場合、輸入への影響を指摘する声もあった。

また、日本の本社への影響を聞いたところ、出張自粛、リスク対策本部の設置、中国駐在員へのケアなどの回答が多く、旅行業で中国向けのツアーに影響が出ているとの回答があった。中には、海外第二工場として中国進出を検討していたが90%なくなったとの回答があった。

 

2.今後、日本の投資の中国からのリスク回避は起こると思うか個人的な分析を3択で聞いたところ

①それでも中国からは離れられないと思う    20(37.7%)

②中国+1を検討するようになると思う         30(56.6%)

③次の投資先は中国以外に向かうと思う      3(5.6%) であった。

 

     ①の「中国から離れられない」理由として、「マーケットの大きさ」、「潜在需要、将来性」「各企業とも今の程度のリスクは進出にあたって織り込み済み」、「相互の経済的な結びつきが抜きん出ている」、「今回の反日デモの動きは一過性のものと考えられるため」「市場の巨大さに目を奪われて冷静な判断が鈍っている」などが挙げられた。

                      

     ②の「中国+1を検討するようになると思う」理由としては、「法治国家とは言えない中国への投資リスクが大きい」、「一極集中リスク回避」、「経営は常にカントリーリスクを考えておく必要がある」との意見があった。

 

3.今後、自分の会社において中国からのリスク回避が起こると思うか個人的な分析を3択で聞いたところ

①それでも中国からは離れられないと思う 24(45.2%)

②中国+1を検討すると思う            21(39.6%)

③次の投資先は中国以外に向かうと思う      8(15.0%) であった。

 

・①「それでも中国からは離れられないと思う」理由としては、「ビジネスの機会が多い」「巨大な市場は将来に向けて魅力が大きい。他のアジア諸国とは比較にならない」、「ちょうど、軌道に乗り始めた所であり、状況判断は必要だが、リスク回避は考えてない」「中国の市場を無視できない」「海外の最重要市場の一つ」「弊社の顧客が中国から離れないため」など、コスト面より巨大な市場を理由に挙げる企業が多かった。

 

・②中国+1を検討すると思う理由として、「一極集中リスクの回避」、「従来からタイ・メキシコ・フィリピン・シンガポールにリスクを分散している」などが挙げられた。

・③次の投資先は中国以外に向かうと思う理由としては、「中小企業にはリスクが多き過ぎる」が挙げられた。

 

4.中国からのリスク回避で他の国に投資が向かう場合に、その投資が向かう国はどこだと思うかを聞いたところ、ベトナム、タイ、インドの順で回答があった。(複数回答:()は理由)残念ながら「フィリピン」との回答は0だった。逆に考えるとこれらの国が選ばれる理由がフィリピンには欠けていると言える。

 

 (1)ベトナム 22票 (賃金レベルと比し、生産性が高い)(労働力の質が他国に比較し良い)(大国意識がなく、日本から学ぼうとしている。賃金も安い)(国民性(勤勉)、労働力コスト。インフラ、法体系の整備)(国情の安定)(インフラの整備が進み、低賃金)

(2)タイ   19票 (国情の安定)(AFTA影響で自動車メーカー、部品メーカーが多く進出しており、コスト削減に有利)、(東南アジアの中心的存在になりつつある)(経済インフラ、親日)(インフラ、関連企業の集積、政治の安定)(成長市場である)(カントリーリスク低い。企業・インフラ高レベル)(親日的)

(3)インド  11票  (人件費)、(低賃金、巨大市場、英語での海外取引が容易)、(人口、資源、英語、ソフト関係)(成長市場である)

 (4)インドネシア・マレーシア 2票

 (6)台湾、アセアン、ロシア、メキシコ 1票

 

4-2 中国からのリスク回避で第3国に向かう投資をフィリピンに向けるために必要なことを聞いたところ(自由回答)、回答は次の通り。治安、インフラ、汚職が上位3位を占めた。これらは、前述の質問においてベトナム、タイでは克服されており、選択理由とされている。

 

 治安回復・向上・安定、犯罪防止 25件

 インフラの整備(電力の安定、道路の整備など) 23件

 汚職撲滅・不法な手数料の徴収防止 10件

 政治の安定、透明化 10件

 労働組合対策・労働争議対策、労働法改正、労働賃金の安定、人件費の抑制 8件

 投資優遇策強化、産業分野への政府の将来的なビジョン 4件

 

5.フィリピンで中国と同規模の反日デモが起きると思うかとの問いに対し、「思う」と答えた人は0、「思わない」と答えた人は、41人(77.3%)、「場合によっては起きるかもしれない」と回答した人が12人(22.6%)だった。

 「思わない」とした理由として、「親日国」「第二次大戦についての考え方が違う」「日本の投資で恩恵を受けている」「反日教育が行われておらず日本人に対する尊敬の念あり」「日本の政治的、経済的存在感が相対的に小さい」「国民性が違う」「両国間に大きな課題がない」など。

 「場合によって起こるかもしれない」とした理由は「貧困層がいつまで経っても抜けられないはけ口」「抗日の強力なリーダーが生まれれば」「芸能人ビザ問題にからめて」「日本人が驕らなければ」などが挙げられた。

 

6.フィリピンは親日国だと思うかとの問いに対し、「思う」34人(64.1%)「思わない」8(15%)「分からない」10人(18.8%)であった。

 

「思う」理由は、「経済的依存度が高い」「最大の援助国だから」「フィリピンでいやな思いをしたことがない」「PEZAの日系誘致の体制から感じる」「OFWが多く行っている」「寛容な国民性」など。

 

「思わない」理由は、「日本の文化習慣ではなく日本のお金にしか興味がない」「経済的依存はあっても精神的なものはない」「日本について何も考えていない」「親米一辺倒、日本については意識の範囲外」など。

「分からない」理由は、「経済的な結びつきはあるが本音は分からない」「反日ではないが親日でもない」、「その時次第。基本的には親米、華僑が多い」など。

 

7.フィリピンでのビジネスのメリットとして周辺諸国より優れていると思われる点を聞いたところ(自由回答・複数回答)

 英語圏との取引・英語ができる・英語で仕事ができるなど「英語」に関する回答          30件

 日本に近い、東南アジアと物理的距離が近い、この地域の中心に位置するなど「立地」に関する回答 11件

 陽気、従順、勤勉、協調性がある,日本人と価値観が合う、ホスピタリティがあるなど「フィリピン人の気質」に関する回答                                        11件

教育水準が高い・人材が優秀、視力が良い、女性が良く働くなど「人材の優秀さ」         9件

賃金水準の優位性がある、賃金が安いなど「賃金」                       7件

 「対日感情が良い」                                     4件

人が豊富、若い人が多い、大量に雇用できるなど「人材の量」                  4件

 日本食レストランが多い、物価の安さなど「生活面」                      2件

対米特恵国、優遇税率の税率が安いなど「税制面」                       2件

 人種問題がない                                       1件

 

8.中国でのデモについて感じることを聞いたところ(自由回答)、次のコメントが寄せられた。

日本の外交力の弱さ 6件

今回のデモは明らかに暴動。それを抑制しない・できない中国政府の姿勢に同意できない。怒り 4件

中国政府が国内の不満の捌け口を日本に向けた。内部問題をそらすために利用されている。 2件

中国はまだまだ自由のない国 国内情報統制の恐ろしさを感じた。 2件

暴動を抑えられない中国国家の危うさ・もろさを感じた。 2件

投資が大きければ大きいほどリスクも大きいことを感じた。 2件

中国はまだ怖い国

日本に対する恨みが残っている。

中国政府に対する不信感

政治が教育を利用してきた結果

愛国無罪として法を無視する国家は国際社会から糾弾されなければならない。

日本を狙い打ちしているところに危機感を感じた。

国内引き締めのために中国政府は反日を利用する作戦を取る。

過去の清算が誰でも理解できる説明が日本政府に出来ない。

中国に出なくて良かった。

中国一辺倒を反省。

駐在員として個人的な問題とは別に国家間の関係で危険にさらされる可能性と隣り合わせにあることを認識した。

中国ビジネスの難しさを改めて感じた。

次回は一党独裁を崩壊させる大規模なデモが起きるような気がする。

過去の歴史を現在まで引き続き政治利用していることは非常に遺憾。

今後も起きる。

過去を正しく見つめなくては正しい将来は来ない。これは中国だけでなくアセアン各国をも含んでいる。

日頃の個人的信頼関係を大切にすべし。若い世代をターゲットにした日本紹介、ドラマなどの文化交流を。

一部の過激な人間が起こした事件。冷静対応すべき。

反日デモの中、なぜ観光に行くのか。

中国滞在の日本人におごりはなかったか。

一般の中国国民の意識が「愛国=反日」という意識であることと、中国政府のコメント(デモの原因は日本にある等)に驚いた。

早く収束してほしい。

日本の外交に更なる強い態度の交渉を期待。国連の安保理常任理事国になるのであれば相応の政治力を行使することが肝要。

中国側の内政面での不満を今回のデモで矛先を変えようとする意図が鮮明であるが、日本政府もプライドの高い相手に対し、形式上恭順の意を表する等の配慮が若干かけているようにも見受けられる。韓国問題も含め、もう少しうまく外交をやってほしい。原爆を2本も落とされた日本が米国に対し反米デモの雰囲気すらない状況を維持してきた米国の外交を見習ってはどうか。

以上